Signal-to-Noise Ratio (SNR, 信号対雑音比)
信号対雑音比(SNR、Signal-to-Noise Ratio)は、信号の品質を、背景雑音に対する信号の電力を比較することで定量化する指標です。単位はデシベル(dB)で表され、値が高いほど信号の雑音が少なく、品質が高いことを示します。
SNRの計算式
SNRは次のように定義されます:
SNR = P_signal / P_noise
デシベル(dB)で表す場合:
SNR (dB) = 10 × log₁₀(P_signal / P_noise)
または
SNR (dB) = 10 × log₁₀(P_signal) – 10 × log₁₀(P_noise)
電圧を基に測定する場合:
SNR (dB) = 20 × log₁₀(V_signal / V_noise)
(電力と電圧の間に2乗の関係があるため、係数20が使われます。)
SNRとC/N比(Carrier-to-Noise Ratio)の違い
SNRとC/N比(搬送波対雑音比)は似ていますが異なる概念です:
SNRは、変調信号を含めた全体の信号電力と雑音電力の比率を表し、デジタル通信やデータ品質評価に重要です。
C/N比は、搬送波のみの電力と雑音の比率を表し、主にRF通信や衛星通信で使用されます。
信号帯域幅と雑音帯域幅が異なる場合、次の式で関係づけられます:
SNR = C/N × (B_n / B_s)
ここで:
B_n = 雑音帯域幅
B_s = 信号帯域幅
実用例
SNR = 20 dB → 信号電力は雑音の100倍
デジタルテレビは安定受信に15 dB以上が必要
CD品質の音声信号では、通常約90 dBのSNRが求められ、高忠実度再生を実現します
SNRの重要性
SNRはさまざまな技術分野で重要な役割を果たします:
通信工学:シャノン=ハートレーの定理により、最大チャネル容量を決定
無線システム:通信範囲とデータスループットを決定
音響工学:音楽や音声伝送の明瞭度を左右
イメージング&センシング:医療画像、レーダー、センサーの解像度に影響
実際には、システム性能、信号の明瞭度、測定の信頼性を左右する最も重要な要素のひとつがSNRです。