Electric Field Strength(電界強度、E)
電界強度(E, Electric Field Strength)は、空間内のある点において正の試験電荷が受ける単位電荷あたりの力を表すベクトル量です。電場の大きさと方向を定義し、国際単位系(SI)ではボルト毎メートル(V/m)で表されます。
電界と電位の違い
電界と電位は密接に関係していますが、異なる物理量を表します。両者の関係は次の式で示されます:
E = –∇V
ここで:
∇V は電位の空間勾配(傾き)
マイナス記号は、電界が高い電位から低い電位へ向かうことを意味します
つまり、電界強度は電位が空間内でどの程度変化しているかを示します。
電界強度の計算式
点電荷の場合:
真空中の点電荷 Q による電界:
E = k × Q / r²
ここで:
k = 8.99 × 10⁹ N·m²/C²(クーロン定数)
Q = 電荷量(クーロン)
r = 電荷からの距離(メートル)
一様な電界(平行平板間など):
E = V / d
ここで:
V = 電位差(ボルト)
d = 平板間の距離(メートル)
これらの式は、コンデンサや静電システムなどの理論・実用設計に適用されます。
計算例
電荷 1 μC(1 × 10⁻⁶ C)が真空中にあり、1 m離れた位置で電界を測定する場合:
E = (8.99 × 10⁹) × (1 × 10⁻⁶) / (1)² = 8,990 V/m
つまり、この位置に正の試験電荷を置くと、1クーロンあたり8,990ボルト毎メートルの力を受けます。
この式が示す通り、電界は距離の二乗に反比例します(E ∝ 1/r²)。例えば、距離が2倍になると電界は1/4になります。これは点電荷やアンテナに見られる典型的な性質です。
電界強度の応用分野
電界強度は多くの技術および科学分野において基本的な役割を果たします:
電気工学:高電圧システム、絶縁設計、配電
エレクトロニクス:半導体やICの設計とシミュレーション
医療技術:電気泳動や電子顕微鏡などの技術
材料科学:誘電体の特性評価や分極挙動の解析
通信工学:アンテナ周辺の電界分布、電波伝搬モデル
粒子物理学:加速器や荷電粒子実験における電界制御