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World Radiocommunication Conference (WRC)

World Radiocommunication Conference (WRC) は、国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)が主催する世界規模の会議であり、無線周波数スペクトラムと衛星軌道の利用を規定する国際条約「Radio Regulations(無線通信規則)」の見直しと改訂を目的としています。WRCは3~4年ごとに開催され、規制当局、各国政府、産業界、その他の関係者が集まり、周波数利用の調和を図り、新たな無線技術の発展を促進します。

目的と適用範囲

WRCの主な目的は以下のとおりです。

  • 特定のサービス向けに周波数帯域を割り当て・再割り当てする(例:モバイル、衛星、レーダー、放送)

  • Radio Regulationsの技術的・運用的規定を改訂する

  • 干渉防止および調整手続きを策定する

  • EIRP/ERPの上限、保護区域、共有枠組みを定める

  • 5G、衛星ブロードバンド、高高度プラットフォームなどの新技術向けに規制枠組みを設定する

WRCにおける主な成果例

  • WRC-15:700 MHz帯をモバイルブロードバンド向けに世界的に調和

  • WRC-19:24.25–27.5 GHz帯で5G用追加周波数を割り当て

  • WRC-23:衛星通信規則の見直し(非静止衛星(NGSO)の調整、移動地球局(ESIM)規則など)

  • WRC-27(予定):6G、IoT、AIを活用した周波数利用に関する議題を検討予定

メーカーおよび試験機関にとっての重要性

WRCの決定は、各国・各地域の規制に影響を与えます。

  • デバイス適合要件(例:最大EIRP、チャネルプラン)

  • 無線・衛星機器の認証条件

  • 各ITU地域における市場参入ルール

  • ETSI EN 301 908やEN 303 413といった調和規格における試験パラメータ

製品開発者、コンプライアンス担当者、規制当局にとって、WRCの成果を理解することは、スペクトラム戦略の立案と将来対応可能な製品設計に不可欠です。

最終確認・更新日:2025年6月12日(IBL編集チーム) この記事にフィードバックを送る