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ECE-R-10(国連欧州経済委員会規則第10号)

国連欧州経済委員会(UNECE, United Nations Economic Commission for Europe)の規則第10号(ECE-R-10)は、自動車およびその電気・電子コンポーネントに関する電磁両立性(EMC, Electromagnetic Compatibility)の要件を定めています。本規則は、多くの国々、特に欧州連合において型式認証の必須基準となっています。

適用範囲

ECE-R-10は、M、N、O、L、T、Sの各車両クラスおよび独立した電気機能を有する電子サブアセンブリ(ESA, Electronic Sub-Assembly)に適用されます。この規則は、完成車だけでなく車両に搭載される予定のコンポーネントにも適用されます。EU以外の多くの国でもECE型式認証の要件として認識されています。

主な技術要件

  • 放射および伝導エミッションの制限:装置が発する電磁波は、規定された限度値を下回らなければなりません。

  • 耐性(イミュニティ):装置は、規定された電磁環境下でも機能を維持する必要があります。

  • 無線通信機能の評価:レーダー、携帯通信モジュール、GNSS(全地球航法衛星システム)などのシステムは、個別の試験対象となります。

  • 車載診断機能(OBD)に関する試験:EMC試験中にはオンボード診断機能(OBD, On-Board Diagnostics)に対して特別な要件が課されます。

これらの試験は、附属書6(部品レベル)および附属書7(車両レベル)に基づき、ISO 11452やCISPR 25などの国際規格を参照して実施されます。

認証および適合性評価

EMC性能は、認証当局によって指定された技術機関によって評価される必要があります。試験結果は型式認証書類の一部として提出され、適合が確認されると正式なECE認証マークが発行されます。

製品ライフサイクルにおける重要性

ECE-R-10は、製品ライフサイクル全体を通じて重要な役割を果たします:

  • 開発段階におけるプレコンプライアンステスト

  • 生産開始前の最終型式認証

  • 設計またはソフトウェアの変更後の再認証

他規格との関連性

ECE-R-10は、自動車部品向けのEMC指令(2014/30/EU)を補完し、無線技術が使用される場合には無線機器指令(RED, Radio Equipment Directive, 2014/53/EU)と連携します。本規則は、車載レーダー、Bluetooth、GNSS機能を搭載したシステムにとって特に重要です。

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最終確認・更新日:2025年6月12日(IBL編集チーム) この記事にフィードバックを送る