Orthogonal Frequency Division Multiple Access (OFDMA)
OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)は、OFDM技術を拡張したマルチユーザーアクセス方式であり、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)以降の規格で導入されています。無線チャネルを複数の周波数ブロックに分割し、それぞれを異なるデバイスに同時に割り当てることで、多端末間の並列通信が可能になります。
適用範囲とユースケース
OFDMAは、アクセスポイントと複数のクライアント間で同時にデータを送受信することを可能にする技術であり、Wi-Fi 6、Wi-Fi 6E、Wi-Fi 7の主要機能のひとつです。
主な利用分野:
高密度な無線LAN環境(オフィス、学校、空港など)
多数の小データ量デバイスが存在するIoT環境
産業用途やリアルタイムシステムなど、低遅延が求められるアプリケーション
技術的な特長
サブキャリアの分割
Wi-Fi 6では、20 MHzチャネルが最大256個の直交サブキャリアに分割されます。これにより、1チャネル内での柔軟な帯域割り当てが可能になります。Resource Unit(RU)
サブキャリアは事前定義されたブロック(Resource Unit)として構成され、各RUが個別のデバイスに割り当てられます。RUサイズは用途に応じて26、52、106、242サブキャリアなどが使用されます。双方向通信のサポート
OFDMAはダウンリンク(AP→クライアント)だけでなく、アップリンク(クライアント→AP)でも並列通信を実現します。これにはPHYおよびMACレイヤにおける正確なタイミング制御が必要です。パフォーマンス上の利点
低遅延: 高密度環境における小パケット通信の待機時間を最大4分の1に短縮(実測データに基づく)
スペクトル効率: 周波数資源の最適活用による通信容量の向上
接続の安定性: 多端末環境でも一定の通信品質を維持
実用例
IoTセンサーが50台稼働するオフィスでは、OFDMAにより各デバイスに専用のResource Unit(RU)が割り当てられ、すべてのデバイスが同時にデータ通信を実行できます。これにより、チャネルの利用効率が向上し、待機時間やパケットロスを低減できます。
規制および標準規格の概要
OFDMAは、IEEE 802.11axの中核技術であり、主要な無線規制および技術基準において暗黙的にカバーされています。
FCC §15.407 – アメリカにおける5 GHzおよび6 GHz帯での運用に適用
EN 303 687 – 欧州連合内でのWi-Fi 6 / 6E機器に適用される調和規格
EN 301 893 – 5 GHzおよび6 GHz帯におけるDFS(Dynamic Frequency Selection)試験に関連
認証上の影響
スペクトル電力密度(Power Spectral Density, PSD):
サブキャリアベースの分割方式により、許容されるPSDの上限および測定方法に直接影響を与えます。タイミング精度:
アップリンクOFDMAでは、リソース割り当ての同期処理が必要であり、そのタイミング精度は試験によって検証されます。
製品ライフサイクルにおける意義
製品の開発および市場投入において、OFDMAへの対応は以下の点で重要です:
動的なリソース割り当てとアップリンクスケジューラの実装が必要
多ユーザー環境におけるタイミング制御と性能の検証が求められる
Wi-Fi 6 / 6E / 7製品における競争力のある差別化要素となる
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