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Noise Figure(ノイズフィギュア, NF)

Noise Figure(NF)とは、理想的な無雑音システムと比較して、電子機器が信号対雑音比(SNR)をどの程度劣化させるかを定量化した指標です。単位はデシベル(dB)で表され、RF(高周波)やマイクロ波回路の感度や性能評価における重要なパラメータです。

Noise FactorとNoise Figure

Noise Factor(F)は、入力SNRと出力SNRの線形比で定義されます:

F = (Sᵢ/Nᵢ) / (Sₒ/Nₒ)

これを対数スケールで表現したものがNoise Figure(NF)です:

NF = 10 · log₁₀(F)


ここで:

  • Sᵢ:入力信号電力

  • Nᵢ:入力雑音電力

  • Sₒ:出力信号電力

  • Nₒ:出力雑音電力

計算例

ある受信機の条件が以下のとき:

  • 入力SNR = 20 dB

  • 出力SNR = 15 dB


この場合:

  • F = 10^((20 − 15)/10) = 3.16

  • NF = 10 · log₁₀(3.16) ≈ 5 dB

測定方法(Measurement Methods)

ノイズフィギュアは主に以下の手法で測定されます:

  • Yファクター法:校正済みノイズソースの既知のENR(過剰雑音比)を用いる手法

  • ゲイン法(Gain Method):利得と出力雑音電力の測定に基づく手法

カスケードシステムにおけるNF(Cascaded System Noise Figure)

複数段から構成されるシステム全体のノイズファクターは、Friisの公式により次のように計算されます:

F_total = F₁ + (F₂ − 1)/G₁ + (F₃ − 1)/(G₁G₂) + …


ここで:

  • F₁, F₂, F₃:各段のノイズファクター

  • G₁, G₂:前段の線形ゲイン(利得)

この式は、信号チェーンの初段における低雑音設計の重要性を示しています。

用途(Applications)

  • 無線通信・衛星通信:受信機感度の決定

  • マイクロ波工学:LNA(ローノイズアンプ)の設計に不可欠

  • レーダーシステム:微弱な反射信号の検出

  • 電波天文学:低レベルの宇宙信号の観測

  • 電子計測機器:機器内部の雑音特性の評価

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以下のツールおよび用語解説は、背景理解や計算の補助資料として活用できます:


最終確認・更新日:2025年6月12日(IBL編集チーム) この記事にフィードバックを送る