VSWR (Voltage Standing Wave Ratio)
電圧定在波比(Voltage Standing Wave Ratio, VSWR)は、無線周波(RF)電力が送信元から伝送路を通じて負荷(例:アンテナ)にどれだけ効率よく伝送されているかを表します。インピーダンス整合の度合いを示し、比率(例:1.2:1)で表されます。
VSWRが1:1の場合、完全な整合があり反射電力は存在しません。値が大きくなるほど整合が悪くなり、反射が増加することを意味します。
数式による計算
VSWRは反射係数(Γ)から計算されます。
VSWR = (1 + |Γ|) / (1 - |Γ|)
ここで:
Γ = 反射係数(単位なし)
|Γ| = 反射係数の絶対値
反射係数はインピーダンスの不整合に基づきます:
Γ = (Z_L - Z_0) / (Z_L + Z_0)
ここで:
Z_L = 負荷インピーダンス(Ω)
Z_0 = 伝送線路の特性インピーダンス(Ω)
また、順方向電力(P_forward)と反射電力(P_reflected)からVSWRを次の式で求めることもできます。
VSWR = (√(P_forward / P_reflected) + 1) / (√(P_forward / P_reflected) - 1)
重要性と実用的な応用例
50ΩシステムでのVSWR 1.5:1は、負荷インピーダンスが約75Ωまたは33.3Ωであり、約4%の電力が反射していることを示します。
VSWR < 1.5:1 は低損失システムにおいて一般的に許容範囲とされます。
VSWR > 2:1 は、著しい電力損失、信号歪み、送信機の過負荷を引き起こす可能性があります。
VSWRは以下の分野で重要な指標となります:
通信分野 – RF電力伝送の効率を確保
放送システム – アンテナ線路上の定在波を最小化
レーダーおよびRFモジュール – 反射による機器の損傷を防止
技術者はVSWR測定を活用して、アンテナの整合、ケーブルアセンブリ、伝送線路性能を評価・最適化します。