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Return Loss(リターンロス)

Return Loss(リターンロス)は、インピーダンスミスマッチなどにより伝送路の不連続部分で反射される電力の割合を定量化する指標です。デシベル(dB)で表され、入射電力と反射電力の比率を示します。

Return Lossが高いほど、インピーダンス整合が良好で、電力伝送効率が高いことを意味します。

リターンロスは常に正のdB値で表され、反射による損失を示します。

Return Lossの計算方法

Return Lossは次の式で定義されます:

RL = –20 × log₁₀|Γ|


ここで:

  • RL = リターンロス(dB)

  • Γ = 反射係数(単位なし)

反射係数Γは次の式で求められます:

Γ = (Z_L – Z_0) / (Z_L + Z_0)


ここで:

  • Z_L = 負荷インピーダンス(Ω)

  • Z_0 = 伝送路の特性インピーダンス(Ω)

また、電力測定に基づく定義もあります:

RL = 10 × log₁₀(Pᵢ / Pᵣ)


ここで:

  • Pᵢ = 入射電力

  • Pᵣ = 反射電力

VSWRとの関係

Return Lossと電圧定在波比(VSWR)は直接関係しています:

RL = 20 × log₁₀[(VSWR + 1) / (VSWR – 1)]

リターンロスが低い場合、VSWRは高くなり、インピーダンス整合が不十分であることを示します。
リターンロスが高い(例:20 dB以上)場合は、反射が小さく、良好な整合状態となります。

リターンロスが20 dBである場合、入射電力の約1%のみが反射されます。
これは、VSWRが約1.22:1であることに相当し、通常の高周波システムで一般的な良好な整合を示します。

業界標準

アプリケーション別の一般的なリターンロス目安:

  • 10 dB:一般的なRFシステム

  • 15 dB:商用通信システム

  • 20 dB:高精度の試験および測定環境

これらの基準は、効率的な信号伝送とシステムの安定性を確保するために設定されています。

応用分野

リターンロスは以下の分野で重要なパラメータです:

  • アンテナ測定

  • ケーブルおよびコネクタの評価

  • フィルタやマッチングネットワークの設計

  • RFシステムの適合性試験

また、リターンロスは光ファイバーシステムやデジタルネットワークにも関連し、反射による信号劣化を防止するために重要です。

リターンロスは対数スケールで小さな反射も高い分解能で評価できるため、VSWRよりも専門的なRFおよびEMC測定では好まれて使用されます。

最終確認・更新日:2025年6月12日(IBL編集チーム) この記事にフィードバックを送る